生命保険
【生命保険とは】
生命保険とは、事故や災害、病気などによって、万が一の経済的損失をカバーするための保障制度です。その基本的な仕組みは、大勢の人が公平に保険料を拠出しあうことによって大きな準備財産をつくり、その中から万が一のときに経済的に助け合う相互扶助の仕組みで成り立っています。
一般に生命保険というのは死亡したときの生活保障を基本としていますが、人々のニーズに応じ、その保障範囲を病気や怪我による手術や入院費用等の医療保障や、老後の生活に対する備えになどにも広げています。貯蓄といった場合、預貯金では万が一のときも自分が積み立てた総額しか返ってきませんが、生命保険では貯蓄プラス、保障を受け取ることができるので、より大きな安心があります。
ただ、以前のように予定利率が高かったころは、有利な利回りを確保できたために、生命保険が貯蓄を兼ねるメリットが大きくありましたが、現在の予定利率は非常に低くなっていて、同様の保険に加入したとしても、保険料は相対的に高くなり、貯蓄としての魅力は薄くなってきています。
すべての保険は、以下の2つの要素から成り立っています。
主契約・・・メインとなる保障(主契約だけで契約ができる)。生命保険の代表的な主契
約は「定期保険」「終身保険」「養老保険」などです。
特約・・・主契約に付加する保障(特約のみの契約はできない)。保険の幅を広げ、内容を
充実させることができます。主契約が満期になれば特約も消滅しますが、保障期
間が主契約と異なる場合もあります。
【生命保険の沿革】
生命保険の歴史は、古代ローマのコレギア・テヌイオルムや、中世のギルドなどにみられた相互扶助制度にその起源を求めることができます。近代的企業として成立したのは、1762年イギリスにおいて、エクイタブル社が生命保険会社として創立されたときからです。エクイタブル社は、英国の数学者ジェームズ・ドドソンがエドモンド・ハリーの生命表を用いて導き出した近代生命保険の基礎とも呼べる理論に基づき設立されました。その後、ウェストミンスター社、ペリカン・ライフ社などが、また1819年にはフランスでジェネラル社、26年にはイタリアでミラノ社、27年にはドイツでゴータ社と、ヨーロッパ各国で次々と生命保険会社が設立されていきました。
日本においては、1881年に明治生命保険(現明治安田生命保険)が設立されたのが始まりで、1888年には帝国生命保険(現朝日生命保険)が、翌89年には日本生命保険が設立されました。この三社は順調に成長していきましたが、その後生まれた基盤の弱い類似保険会社が相次いで倒産したことから、政府は、98年に商法、翌99年に商法施行法、1900年に保険業法を施行して取締りに乗り出しました。1902年に、この保険業法に基づいて最初に誕生したのが第一生命保険です。
【生命保険の種類】
現在、日本で行われている生命保険は、その目的に応じて大きく三つの分類することができます。
① 死亡保険
死亡保険は、被保険者の死亡したときや高度障害状態となった場合のみ、に限り保険金が支払われる保険です。死亡保険は基本的に終身保険と定期保険とに分かれ、前者は保険期間を定めず一生涯の保障を受けられる保険であり、後者は被保険者が約定の期間内に死亡したときに限り保険金が支払われます。また、この二つを組み合わせた定期保険特約付終身保険というものもあります。
終身保険
終身保険とは、簡単に言うと一生涯を保障する保険です。その人の寿命が何歳であっても、契約をすれば解約しない限り保障してくれます。また、終身保険は掛け捨てではないために、もし途中で解約しても、解約返戻金があります。終身保険の保険料は値上がりがありません。保険料の払い方は、月払い、年払いのほかに、一時払いや全期前納があります。
定期保険に比べて契約がいつ終わるかわからない終身保険は、長い保険期間となり、その分保険料の負担は大きくなります。そこで、最終的には必要な保障だけを終身保険にし、高額保障が必要な時期だけ、これに定期保険をプラスして備えるのが一般的です。
また、終身保険を解約して、解約返戻金を年金代わりにしたり、解約返戻金を使って払済保険などに変更することも可能です。払済にした場合、元の保険金額よりは保障は減りますが、以後の保険料の支払いをせずに、一生保障を持ち続けることが可能です。
定期保険
定期保険は、保障期間が一定の保険です。保障期間中に死亡した場合のみ、死亡保険金を受け取ることができます。保険期間が限られているので、終身保険よりも割安で、加入時の年齢が若ければ若いほど、保険料は安くなります。つまり、安い掛け金で大きな保障を得ることが出来るわけです。ただし、若いときには安くて大きな保障を得られるものの、保険期間が終了するたびに更新が必要になります。更新で同じ保障内容を継続できますが、保険料はその時点での年齢で計算されるので、割高になっていきます。
定期保険は、満期保険金のない掛け捨て型となっています。解約返戻金も無いか、あっても僅かです。日本人は掛け捨てが損だという意識がある人が多いようですが、保険に保障のみを求め、貯蓄は別に考えるならば、非常に合理的な保険であります。必要な保障を必要な期間買い求める感覚ですね。
また、定期保険は保障額が満期まで変わらない「定額型」が一般的です。そのほか、契約後に保障額が減っていく「逓減定期保険」、保障額が増えていく「逓増定期保険」、保険金を一時金ではなく、年金のように決まった額で受け取る「収入保障保険」があります。
終身保険と定期保険のメリット、デメリット
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種類 |
メリット |
デメリット |
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終身保険 |
・一生涯保障。 |
・保険料は定期保険に比べ割高。 |
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定期保険 |
・終身保険に比べて保険料が割安。 |
・満期保険金はない |
定期保険特約付終身保険
定期保険特約付終身保険は、終身保険に定期保険を特約として組み合せた保険です。一生涯の死亡保障に加えて、家族に対する責任が重い働き盛りの時期に高額の保障を付加することができ、ライフステージに応じて必要な保障と保険料のバランスをとることができます。
定期特約付終身保険には、定期保険特約の保険期間を保険料払込満了までの全期間付加する全期型タイプと、定期保険特約の保険期間を10年や15年ごとなど短期で区切り、満期を迎えたら更新する更新型タイプがあります。前期型は保険料が全期間にわたって変わりません。更新型は更新時の年齢で新たに保険料が計算されるため、通常は保険料が高くなります。
② 生存保険
契約してから満期まで生存していた場合のみ保険金が支払われます。このタイプには、個人年金保険やこども保険があります。ただ、実際に販売されているものは、各種死亡保障をつけて、死亡した場合にも給付金が受け取れるようにするのが一般的です。
個人年金保険
個人年金保険とは、生命保険会社が扱っている個人年金です。60歳あるいは65歳まで保険料を積み立て、もしくは一時払いで納めて、指定年齢になったら、年金を受け取ることができます。年金には色々種類があり,それによって受け取り方も変わってきます。
年金の受け取り方
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終身年金 |
払込期間終了後、生存している限りずっと受け取れる年金です。 |
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有期年金 |
生存していれば、一定期間のみ受け取れる年金です。給付期間中に死亡した場合は、年金の支払いはなくなります。 |
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確定年金 |
生存していても、していなくても期間内であれば、年金が支払われます。 |
定額年金と変額年金
個人年金には、契約時に年金受取額を決める定額年金と、保険料を投資信託などで運用して、その運用結果によって受取額が増減する変額年金とあります。
定額年金・変額年金のメリットとデメリット
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メリット |
デメリット |
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定額年金 |
受け取りの金額が明確なために、老後の計画を立てやすいというメリットがあります。 |
将来インフレになったばあいは年金額の価値が下がってしまう場合も考えられます。 |
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変額年金 |
運用成績が良いと、年金額が多くなります。 |
投資運用内容によって、受取額が上下し、不確実です。運用成績が悪いと、年金額が支払った保険料を割ってしまう可能性も出てきます。 *商品によっては、支払いの最低保障を設定しているものもあります。 |
こども保険
こども保険とは、こどもを被保険者、親を保険契約者として加入し、こどもの教育資金や独立、結婚など、こどもの成長に合わせて必要になる資金の準備を目的とした保険です。こどもの年齢は0歳~12歳6ヶ月以下である必要があります。子供の進学時期などに合わせて進学資金が、満期時には満期保険金が受け取れます。こども保険の良いところは、貯金と違って、親が死亡した場合保険料が免除され、約束の保険金は受け取ることが出来ることだといえます。
ただ、注意すべき点もあります。こども保険に余分な特約や死亡保障などがついていると、保険料が割高になり、貯蓄の機能が低くなってしまうことです。純粋に教育資金をためたいだけならば、銀行預金でも良いわけで、保障がほしければ、単体の医療保険だと子どもでもとても安く加入できますし、親の死亡時に備えたければ、親の死亡保障の見直しをすればいいわけですから、そのあたりを考慮しながら保険内容をよく確かめてみると良いでしょう。
③ 生死混合保険
生死混合保険とは、死亡保険と生存保険とを組み合わせたものです。保険期間の途中で死亡または高度障害になったときや、満期まで生存していた場合に保険金が支払われます。日本では養老保険とよばれ、もっとも普及しています。
ただし、保険料の多くが積み立てにまわされる養老保険は貯蓄性が高く、その分保険料も割高になります。予定利率の高かった時代には、貯蓄として有利性がありましたが、現在は予定利率が低く、満期保険金が払込保険料総額を上回っていた時代は終わっています。逆に今は元本割れを起こす時代で、貯蓄としての機能はどんどん薄れてきているのが実情です。
また、最近では、養老保険に定期保険を組み合わせることによって死亡保障部分を大きくした定期付養老保険などもあるようですが、主契約の養老保険は満期が設定されているため、主契約が終了すれば、掛け捨ての定期部分も更新できずに終了となってしまうので、注意が必要です。