自動車保険
【自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは】
自動車を運転する場合、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に加入することが義務付けられています。自賠責保険とは、万が一事故を起こした場合、被害者救済を目的として、最低限の補償を行うための保険です。自賠責保険は「対人賠償」の保険であり、相手の車や物の損害、自分のケガ、自分の車や物の損害については、自賠責保険では補償されません。対人賠償の保障内容は以下のようになっています。
自賠責の保障範囲
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傷害事故 |
治療費、休業損害、慰謝料等、120万円を限度に支払われます。 |
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後遺障害を残した事故 |
身体に残った障害の程度に応じた等級による逸失利益、および慰謝料が支払われます。限度額は、障害の程度により3,000万円から75万円の範囲で支払われます。なお、神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して常時介護が必要な場合は4,000万円まで支払われます。 |
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死亡事故 |
葬儀費、逸失利益、被害者本人の慰謝料および遺族の慰謝料が3,000万円を限度に支払われます。 |
【自動車任意保険とは】
自動車保険の任意保険とは、自賠責保険ではカバーし切れない各種の補償をカバーする保険です。たとえば、相手の死傷に対する賠償額が自賠責保険の補償額を超えた場合に、その超過分が契約内容の限度額において支払われます。また、自動車保険では、自賠責保険では補償されない相手の車や物の損害、自分のケガや車の損害についても補償されます。自賠責保険が強制的に加入することを義務付けられている強制保険であるのに対し、任意保険は強制保険ではありません。任意保険に加入しているのは、ドライバー全体の7割ほどで、3割は無保険で運転しているのが現実です。
【沿革】
日本における自動車保険の歴史は、1914年(大正3)に東京海上保険会社(現在の東京海上日動火災保険株式会社)が事業免許を得たことに始まります。当時、日本の自動車の保有台数はわずか1066台にすぎず、自動車保険に対する社会的需要はかならずしも高くはありませんでした。しかし、戦後1945年(昭和20)になると、日本における自動車保有台数は約14万4000台になり、その10年後には、約134万台にまで増えます。その後もモータリゼーションの進行とともに自動車保有台数は増え続け、ついに1955年7月29日に自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)が創設されることになります。こうして自動車保険は、任意の自動車保険と強制の自賠責保険の二本建てとなり、互に補完しあうことになります。
【自動車保険の種類】
自動車保険には、担保する危険の性格に応じて数種類の担保種目があります。
① 対人賠償保険
対人賠償保険とは、自動車の所有・使用・管理に起因する人身事故によって、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することで被る損害を填補する保険です。「人」に対する賠償額は、死亡事故や重傷事故を起こしてしまった場合、億単位の賠償額になることも珍しくありません。そうなると、上限が3000万円の自賠責保険だけではカバーできません。そして、もしも任意の対人保険に加入していなければ、自賠責保険のオーバー分はすべて加害者本人が払わなければならなくなります。そのようなリスクを補うために対人賠償保険があります。
対人賠償保険は、自賠責保険で支払われる保険金を超える部分に対して保険金が支払われることから、自賠責保険の「上乗せ保険」といわれます。人身事故の賠償額は思いのほか高額になることも少なくありませんので、加入時に設定する補償範囲は「無制限」にしておくのが一般的です。
対人賠償保険が適用にならない場合
対人賠償保険は、あくまでも法的に賠償責任を負った相手、つまり他人に対して適応する保険ですので、運転者本人やその家族の傷害や死亡については補償されません。これに対応する保険としては、搭乗者傷害補償保険や人身傷害補償保険になります。
また自分の車を知人に運転してもらって自分も同乗中に起きた事故で運転者と自分の双方が負傷または死亡した場合には、運転者も自分も対象となりませんので注意しましょう。
② 対物賠償保険
対物賠償保険とは、自動車の所有・使用・管理に起因する対物事故により、相手の自動車・建物・電柱など、他人の財物、つまり「モノ」に破損、汚損、滅失などの損害を与えて、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を填補する保険です。
対物賠償の補償範囲は、破損した物に対してだけではなく、例えば、店舗など業務を行っている建物への衝突や、トラックや大型車など業務用の車両に衝突した場合は、直接壊した物への賠償以外にも、営業損失や休業補償などの損害が含まれるため、予想以上に高額となることがあります。対物賠償保険は、これらの損失も含めてカバーします。
対物賠償保険が適用にならない場合
対物賠償保険は、法的な賠償責任を負った他人の物に対して適応する保険ですので、自分や家族の所有物については補償されません。これは対人賠償保険と同じです。したがって、自宅建物や自宅の塀などに車をぶつけてしまった時や、家族の所有するもう一台の車との衝突事故などは対応しません。
③ 自損事故保険
自損事故保険とは、自動車の運行に起因する事故により被保険者が死亡または負傷した場合で、その損害について自賠法3条に基づく損害賠償請求権が発生しないときに、保険金が支払われます。たとえば、ほかの車がかかわらない単独事故の場合や、自動車同士の事故で相手にまったく過失がなく自分が死亡や負傷を負った場合など、相手の自賠責保険から保険金が支払われない時に、保険金が支払われます。つまり、自損事故保険はドライバーを守るための保険といえます。また、対人賠償保険を契約すると自動的にセットされます。
自損事故保険が適用にならない場合
被保険者の故意による事故や、無免許、酒酔い、麻薬中毒等の状態での運転によって、その本人に生じた傷害や死亡には、自損事故保険の保険金は支払われません。また、被保険者の闘争行為、自殺行為、犯罪行為で起きた事故による本人に生じた傷害や死亡や、戦争、変乱、暴動、地震、噴火、津波および原子力により生じた傷害や死亡の場合も、自損事故保険の保険金は支払われません。
④ 無保険者傷害保険
無保険者傷害保険とは、対人賠償保険の被保険者が相手の自動車との事故で死亡したり後遺障害を被る被害者となったりした場合、相手の自動車に対人賠償保険がついていないと、十分な賠償を受けることができないことがあります。そこで、被保険者がつけている対人賠償保険の保険金額の範囲内で被保険者に填補するのがこの無保険者傷害保険です。
補償の範囲は、該当する自分の保険の対人賠償保険の補償額と同額です(無制限の場合は2億円まで)。実際には、相手の対人賠償保険や自賠責保険または政府保障事業制度などから支払われた保険金額を差し引いた、残りの額となります。
また、保険者は相手方にかわって被保険者に支払うので、その支払った範囲で、保険者は被保険者が相手方に対して有している損害賠償請求権を取得することになります。
無保険車とは?
・任意保険の対人賠償保険に加入していない車
・対人賠償保険はかけられていても、運転者の故意や、盗難車の運転、年齢条件や家族限定特約の条件に違反しているなど、相手の保険が適用とならない場合
・対人賠償保険の保険金額が、損害額を下回る場合
・ひき逃げなど加害者を特定できない場合
無保険車傷害保険が適用にならない場合
被保険者の故意、無免許、酒酔い、麻薬等の運転、闘争、自殺、犯罪行為により生じた損害賠償義務者が、被保険者の父母、配偶者、子どもなどの場合は適用になりません。また、戦争、変乱、暴動、天災および原子力により生じた損害の場合も、適用されません。
⑤ 搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは、被保険自動車に搭乗中の運転者および同乗者が、運行に起因する事故により死亡または身体に傷害を被ったときに保険金が支払われる保険です。搭乗者傷害補償保険は、「急激かつ偶然な外来の事故」であれば、ほとんどの場合、その車に搭乗している人すべてのケガや死亡に対応し、保険金が支払われることになっています。また、この場合、人身傷害補償保険などほかの保険とは別に支払われます。また、他車との事故だけでなく、自分のクルマのドアで指を挟んだ時なども保険金の支払い対象になります。
搭乗者傷害保険が適用にならない場合
被保険者の故意による事故、または無免許、酒酔い、麻薬中毒等の状態での運転によってその本人に生じた傷害や死亡の場合や、被保険者の闘争行為、自殺行為、犯罪行為で本人に生じた傷害や死亡の場合には、搭乗者傷害保険が適用になりません。
また、被保険者が、被保険自動車の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで被保険自動車に搭乗中に生じた傷害や死亡や、戦争、変乱、暴動、地震、噴火、津波および原子力により生じた傷害や死亡の場合にも適用になりません。
なお、トラック荷台へ乗っていたり、窓から身を乗り出した状態であったり、さらには、車から降りたときにあった事故など、正規乗車装置に搭乗していない状態で傷害をおったり、死亡したりした場合にも適用されないので、注意しましょう。
⑥ 車両保険
車両保険とは、偶然の事故によって被保険自動車の車体自体に生じた損害を填補する保険です。偶然の事故とは、衝突、接触、墜落、火災、台風、洪水、転覆、物の落下、盗難など、すべての偶然の事故を言います。
車両保険の保険金額は、車種や初度登録時期や排気量などによって、自動的に設定範囲を定められていますが、ある程度の範囲がありますので、その範囲で自由に設定することは可能です。また、車両保険の免責金額、つまり自己負担額を設定することもできます。免責金額によって、保険金額も違ってきます。設定できる免責金額は、契約条件や車の用途・車種によって異なっており、その範囲内で設定を行うことになります。
なお、支払われる保険金は、車の損傷を修理することができる場合は、その修理支払限度額となります。
また、車両保険の種類車両保険にはいくつかのタイプがあり、タイプによって補償される範囲や保険料が違ってきます。
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保険のタイプ |
保障範囲 |
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一般タイプ |
あらゆる車両の損害をカバーします。自分で電柱に追突しての自損事故や、相手の特定できないあて逃げの時も、車両に受けた損害を補償します。 |
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車対車+A |
車対車の事故による車両の損害の補償にプラスして、災害による車両の損害や盗難にも対応します。ただし、自損事故や相手の特定できない事故の場合は適用しません。 *「A」とは、Accident(アクシデント)のAのことで、正式には車両危険限定担保特約と言い、車を走行させた時以外に起こりうる危険を意味しています。 |
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エコノミータイプ |
相手の限定できる車対車の事故による車両損害のみ補償します。 |
車両保険が適用にならない場合
戦争、変乱、暴動、天災および原子力により損害が生じた場合や、本人または家族などの故意による損害、無免許、酒酔い、麻薬等の運転および闘争、自殺、犯罪行為により、被保険者に生じた損害の場合には適用になりません。また、欠陥、摩滅、腐触、さび、その他自然の消耗や、故障によるものも適用対象外となります。
⑦ 人身傷害補償保険
過人身傷害補償保険は、車に乗車中、または歩行中などに、自動車事故で死亡または傷害を負った場合に保険金が支払われます。一定の条件の下で、契約車以外の自動車に乗車中の事故についても補償されます。
また、被保険者の過失割合に関係なく、ドライバー本人や家族のケガや死亡を補償しますので、例えば、自分の過失が大きく、自分のケガや死亡の時の保険金から過失分が差し引かれた場合でも、この人身傷害補償保険があれば、設定した保険金額の範囲以内で損害額を補填できます。
人身傷害補償保険が適用にならない場合
戦争、変乱、暴動、天災および原子力により損害が生じた場合や、被保険者の故意または極めて重大な過失による事故、無免許、酒酔い、麻薬等の運転および闘争、自殺、犯罪行為により、被保険者に生じた損害には、適用になりません。また、被保険者の損害が、被保険自動車の対人賠償保険によって補填される場合も適用になりません。
【保険料の決まり方】
自動車保険の保険料は、車の用途、種類や排気量、年齢条件、等級、その他各種割り引き制度などの組み合わせによって決まります。
車の用途
各保険会社や商品によって分け方が違っている場合がありますが、基本的に車の用途とは、日常・レジャー使用、通勤・通学使用、業務使用などに分けられます。
車の種類
車の車種とは、家庭用の自家用車の場合、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)、自家用小型貨物車、特種用途自動車(キャンピングカー)、二輪自動車、原付自転車などに分類されます。
年齢
年齢条件は基本的に、全年齢担保、21歳未満不担保、26歳未満不担保、30歳未満不担保の4段階に分かれています。年齢を問わず担保と30歳未満不担保では、保険料に2倍以上の開きが出ることもあります。しかし年齢条件に該当しない人が運転して事故があった場合には保険金が支払われませんので注意しましょう。
この他、等級、車の安全装置の有無、年間走行距離、ゴールド免許、居住地域などによっても、保険料は違ってきます。