医療保険
【医療保険とは】
医療保険とは、病院などの医療機関への受診で発生した医療費の一部、もしくは全額を保険者が給付する保険です。巨額の医療費の負担によって生活に支障をきたすことのないように、医療保険は国民の生活を安定させることを目的としています。
医療保険には、大きく公的医療保険と民間医療保険の二つに分けることができます。どちらの保険の場合も目的は同じで、長期に渡る入院や手術、高額な薬品の投与などに伴う巨額の医療費によって、被保険者である患者や、患者の家族の負担にならないように、その被保険者が支払うべき負担額の上限が定められています。
ただ、医療保険の保険金を支払う方の立場である、国などの公的機関や保険会社などは、その支給額があまりにも膨大な金額になってしまうと、財源が圧迫されることになりますので、保障範囲が定められています。
【医療保険の沿革】
世界最初の医療保険は、ドイツにおいて1883年の疾病保険法によって導入されました。その後1911年にはイギリスで国民保険法が制定され、日本では、1922年(大正11)に工場労働者などを対象とする健康保険法(健保法)、1938年(昭和13)には、農民などの自営業者を対象として、国民健康保険法(国保法)が制定され、1961年4月には国民皆保険が実現しました。
高度経済成長期には、健康保険(健保)および国保ともに自己負担の軽減などの給付改善を行い、1973年には老人医療費の無料化までも実施しました。しかし、1980年代以降は少子高齢社会に対応した制度の見直しが迫られ、2006年には、「安心・信頼の医療の確保と予防の重視」、「医療費適正化の総合的な推進」「超高齢社会を展望した新たな医療保障制度体系の実現」などを柱に、医療制度改革が行われています。
【医療保険の目的】
医療保険の目的は、病気やケガをした時の経済的損失リスクを回避することにあります。巨額の医療費の負担による生活の困窮や、病気を患っても経済的に医療を受けることができないということのないように、医療保険は国民の生活を安定させることを目的としているわけです。
また、入院してその間仕事をしなかったことによる損失が補填する役割もあります。どこかの会社に従業員として働いていればまだ良いのですが、自営業者だとその間収入がなくなる可能性もあります。そのような経済的損失を回避する役割があります。
【医療保険の種類】
医療保険は大きく分けると公的医療保険と民間医療保険があります。
公的医療保険
公的医療保険は公的機関によって運営されている医療保険のことです。日本では、すべての人が公的医療保険に加入することになっています。公的医療保険にはいくつかの種類があり、いずれかに加入することになっています。
健康保険の適用事業所で働いている方は、健康保険に加入します。パートやアルバイトなどの非正社員であっても、条件を満たせば被保険者となります。健康保険では治療費の自己負担額が3割となり、毎月保険料を支払う義務がありますが、保険料は事業主と折半となります。
また、自営業者などは国民健康保険に加入し、国家公務員や地方公務員などは共済保険に加入します。被扶養者は扶養者の加入している保険に加入します。
高額療養費とは?
医療費には、高額療養費という制度があります。これは、一ヶ月間に支払う医療費の上限が定められていて、一ヶ月の間に同一の医療機関でかかった医療費が、あらかじめ定められた自己負担限度額を超えた場合、その超過分が支給される仕組みになっています。従来は、一旦窓口で支払った後に、給付金を受け取ることができましたが、制度が改正され、事前に申請をすれば超過分を支払う必要がなくなりました。
民間医療保険
民間医療保険とは、民間業者が提供する医療保険で、公的医療保険とは違い任意加入となります。例えば公的医療保険によって医療費の負担額が3割になったとしても、差額ベッド代や交通費など様々な支出があります。民間の医療保険でこれらの支出を補完することができます。
以前は、医療保障は死亡保険の特約として存在していましたが、平成に入り、医療保険として単体で売られるようになりました。がん保険も含めて、これを第三分野といいます。第三分野は外資系が主力として販売している商品で、リーズナブルなものもたくさんあります。
【民間医療保険の保障内容】
生命保険会社が今まで扱ってきたほかの保険と大きく異なるのは、生きている時に受け取ることができるということです。入院したり手術を受けたりしたりしたときに、所定の日数以上入院すると、給付金が受け取れます。また、生命保険の特約としての入院保障の場合、その内容は延長をしたとしても80歳という年齢を境にして入院保障が中断されてしまい、新たに入院保険に入りたいと思っても、死亡保険に入らなければ入院の特約を付けられないというようなこともありました。その点、単品として医療保険、入院保険、がん保険に加入できるのは魅力的で、入院中の保険を終身保障してくれます。
医療保険の保障(主契約)は主に「入院給付金」と「手術給付金」の2つです。他に、「成人病入院給付金」や「通院給付金」など、数多くの保障が用意されていますが、これらは各保険会社が独自に用意した特約であり、希望に応じて付け加えていくことになります。
【入院給付金】
入院給付金は、病気やケガなどで入院した場合、入院日数に応じて支払われる給付金のことです。医療保険の一番の基本保障と言えるでしょう。入院給付金は治療を目的とした入院の場合のみ支払われることが普通ですので、検査入院などは対象となりません。入院給付金は医療保険の基本となる保障であり、主契約として設定してあります。一部の保険会社では病気の場合のみ主契約としていて、災害による入院給付金は特約として設定しているところもあります。
・1日あたりの給付金額設定
入院すると自分で設定した1日あたり5,000円や10,000円などの給付金がもらえます。仮に10,000円で設定していたとしたら、治療費が5,000円しか掛からなかったとしても、10,000円をもらう事ができます。入院1日あたりの設定可能な給付金額は、3,000円~20,000円の範囲が多く、複数の保険会社で加入すれば、それぞれから給付金がもらえます。
・入院給付金保障開始日
入院して何日目から給付金がもらえるかは、保険会社や商品によって異なります。日帰り入院から対象になる場合もあれば、8日以上入院しないと対象にならない場合もあります。
・入院給付金限度日数
入院給付金には、60日型、120日型、180日型など限度日数があります。例えば、60日型、日額10000円で一日目から保障の医療保険に加入し、100日間入院したとします。この場合、61日目以降は保障されないので、100日入院していても給付金は60万円となります。これに対して、120日型、180日型であれば、100日分の100万円が受け取れますが、現代の医療は長期の入院をしない方向へ進んでいて、また日本人の平均的な入院日数は2ヶ月以内が8割以上を占めていると言われますので、よく考えて加入すると必要があります。なお、癌などで入退院を繰り返えす場合、前回の入院から一定期間あかないと、保障の対象にならないという免責事項があり、再入院の給付金を受け取れなかったということもしばしば発生しているようです。
【手術給付金】
手術給付金は、病気や事故、ケガなどで手術をした場合に保障される給付金です。手術給付金は入院給付金と一緒に主契約として扱われている商品もあれば、手術給付特約として扱われている商品もあります。手術給付金は入院を伴わない日帰り手術でも保障の対象になりますが、病気や事故・ケガで治療を目的とした手術ですので、美容整形等は対象にはなりません。ちなみに虫歯の治療も対象外です。
・手術給付金の額
手術給付金の保障内容は、一部の商品では一律10万円等となっているものもありますが、多くの場合、入院給付金日額の5~20倍に設定されています。例えば、入院給付金日額が1万円の場合、「手術給付金」は1回あたり5~20万円になります。どのような手術をする場合、何倍になるかなどは、約款の「対象となる手術および給付倍率表」に細かく記載されています。
・手術給付金限度回数
手術給付金をもらえる回数には入院給付金と違って制限がありません。
【定期型医療保険と終身型医療保険】
期間の定まった医療保険を定期型医療保険といいます。また、一度加入すると保障が生涯にわたり続く保険を終身型医療保険といいます。
短期的に見れば、定期型医療保険は毎月支払う保険料が終身型保険よりも安くなるというメリットがあります。しかし、高齢になってから加入しようと思うと、当然保険料は高くなり、また医師の診断が必要なため、加入できないこともあります。定期型保険は病気やケガになりやすくなっている環境にいる時、期間限定なことを前提として活用するとよいでしょう。
もし生涯にわたり保障を受けようと思えば、定期型医療保険でも更新することのできるタイプもありますが、更新を繰り返すたびに保険料は高くなり、長期的に見れば終身型保険の方が、保険料が安くなります。もし若いうちから生涯にわたり医療保険に加入するのであれば、終身型保険のほうがよいでしょう。終身型医療保険は毎月支払う保険料は加入時からずっと固定されたままですので、保険料の安い年齢の若いうちに終身型医療保険に加入すれば、保険料が安いままにすることができます。
また、保障は生涯続きますが、保険料の支払いは終身払いのものと、60歳や65歳など定められた期間まで有期払いのものがあります。毎月の保険料の額をみれば、終身払いのほうが有期払いよりも安くなっています。
【がん保険とは】
がん保険とは、保障の対象をがんのみに限定した保険です。がんで入院や手術をした時に給付金を受け取ることができます。通常の医療保険が幅広い病気やケガを対象にしているのに比べ、がん保険はがん専用です。このため保険料が安くなっています。
がんになると入院が長期化したり、入退院を繰り返したりする傾向があります。医療保険でもがんで入院すれば、入院給付金が支払われますが、限度日数が定められているたり、再入院までに一定の期間をあけなければいけないなどの制限があります。しかし、がん保険では、限度日数を無制限とするなど、がんに即した保障内容となっています。また、入院時ではなくがんと診断された時点で支払われるものもあります。
ただし、がんの再発しやすい特性から、一度がんと診断されたことがある人は、がん保険に加入することができません。本人にがんであることが告知されていなかった場合でも同様です。また、がん保険には加入してから3ヶ月間の待機期間が設けられています。この間にがんが発見されると、給付金を受け取ることができません。
【医療保険のトラブル】
医療保険のトラブルの中で最も多いのが、給付金未払いの問題です。その原因として一番多いのが告知義務違反、すなわち、過去・現在の健康状態を正確に答える義務を怠ったためとされています。告知義務違反となると、給付金が支払われない他、契約が解除され、支払い済みの保険金も返還されないという事態となります。また、逆に保険会社の不祥事により保険金が未払となり、社会問題にまで発展したケースもあります。
その他のケースとしては、保険の対象外とされていることに気がつかない場合もあります。約款には支払い条件が細かく設定されています。しかし、契約時に説明不足になったり、被保険者がこれをよく読まなかったり、ということも少なくないようです。これらのトラブルを防ぐには、契約時に慎重に確認することが大切です。
【医療保険、本当に必要?】
最後に、医療保険が本当に必要か考えてみましょう。確かに、医療保険の手厚い保障内容は魅力的なものが多くあります。しかし、日本の健康保険制度では、一ヶ月に一定額(概ね8万円ぐらい)以上の医療費がかかった場合、自己負担する必要はないのです。まず、この点をよく考える必要があります。その上で、食事代、差額ベッド代、雑費、家族の交通費、自営業者などは、入院中の収入面の心配などを考慮する必要があります。
また、一日10000円の60日型の医療保障に入るのに、保険料が10000円ぐらいかかります。年間12万円。5年間で60万円です。終身タイプであれば、これ以上の保険料総額になります。しかし、1入院60日では、手術代は別として入院給付金だけ考えると60万円が限度です。そう考えると、通常の預貯金で貯蓄しておくほうが良いともいえるかもしれません。